描写がここまで細かくてグロイのは初めて読みました。
あまり脳内でイメージを膨らませないようにして、文字だけをさらっと読む感じで進めようとしましたが、読むとどうしてもイメージをしてしまって、なかなか気持ち悪いですね。
しかし、稔・樋口・雅子の3者それぞれの目線で進む構成がとてもテンポよく、そして読みやすく、最後まで面白かったです。
最後は読み終わった後、「ポカーン( ゚д゚)」と呆然。
『十角館の殺人』や『ハサミ男』の時は、本のラベルにどんでん返しみたいなものがある的なことが書いてあったので、予想はできなかったものの心の準備ができていたのですが、
この『殺戮にいたる病』については全く事前情報がなかったので、本当に驚きました。
グロさと構成力で終盤まで持っていって、最後はどう落とすんだろうと思っていたらコレでした。
振り返ってみると、途中途中で確かに疑問がなかったわけではありません。
大学生なのにずいぶん金あるなとか、ディナーやバーに行き慣れた感あるなとか、女性の扱いとか、全てにおいて余裕があるなと感じていました。
しかし、最後全てがわかった後に感じた事は、「逆に幼稚じゃない?」ということです。
「二人の子供がいる、いい父親がこんなことやってたんかい!」と。
一言で言えば、異常なまでのマザコンってことだと思います。
そうなった背景には、稔の母親じたいも稔への関わり方が少し異常だったのではないかと思いました。
そしてそれは、稔の妻となった雅子にも感じました。
正直、稔パートとは違った意味で雅子パートは怖かったです。
息子への愛の形がかなり異常ですよね、管理しすぎといいますか。
その異常さが息子を変にさせて、犯罪者にさせた部分があったのだなと推理していたのですが、全くの大ハズレ。
上手い事やられました。
息子、めちゃくちゃかわいそうなやつでしたね。
一回目を読了してしばらく呆然とした後、二回目をパラパラっと読みなおしました。
樋口と島木姉妹との関係や年齢差を見せつける事で、稔と被害者女性たちとの関係は「ありえなくないよ」とリアリティを持たせてるのかなと思いましたがどうでしょう。
最後にひっくり返る系は、改めて読むのがなおのこと面白いですね。
あと、これに関して言えば、タイトルがかっこいい。
『殺戮にいたる病』
物語の途中、「もしかしたら樋口が稔の父親とか、殺してるとかあるのか?」と、毎回恒例の全く的外れなことを考えてしまったのは内緒です。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。