テレビのクイズ番組って、解答者の答えが正解かどうかの前によくCMを挟みますよね。
そういう時、私はいつも番組の残り時間を見て、「あと3分くらいしかないから不正解だろうな」とか、本来の楽しみとは違う予想をしてしまう事があります。
このオリエント急行の殺人でも似たようなことをしてしまいました。
「これだけたくさんの証言を集め終わったけど、もうページ数そんなないぞ?、どうなるんだ」と。
怒涛の急展開で犯人が現れ、一気に解決に行くんだろうなと予想していたら、まさかの展開。
やられた感がありますが、正直いうと少し肩透かしくらった感もあります。
ですが、少し時間が経った今振り返ってみると、だんだんと肩透かし感よりもやられた感が大きくなってきています。

まず序盤で、アーバスノットとデブナムという2人の怪しげな会話のやりとりを聞いたところ。
今思うと、意図的にこの男女に疑いの目を向けさせていたのだなと。
そして遺体の刺し傷からみて、どうやら複数人が刺したのではないかと思わせたところ。
ここでまた私の脳内ではアーバスノットとデブナムがチラつきました。
結局、複数人が刺したのは間違いではなかったのですが、まさか2人ではなく12人全員だとは・・・。
このまま私が思う疑惑の2人が犯人で終わったらストレートすぎるので、これで終わるわけがないと思ってその他の人物たちに目をむけたものの、どうも全員にアリバイがある模様。
その上、真っ赤なガウンを着た女だの、見た事がない車掌がいただのと、外部犯も匂わせる展開に。
「残りのページ数が少なすぎる」
「まさかこのまま疑惑の2人で終わるのか?」とも思った矢先、乗客たちの嘘や工作がここから次々と明らかに。
Hのイニシャルが入ったハンカチから始まり、「お前も嘘かい!、お前も嘘かい!」と。
乗客4人目の過去の役割がわかったあたりで、「まさかこれ・・・全員?」と気が付きました。
全員にアリバイがあるのには理由があったわけですね。
全員が何らかの嘘をついていました。
思えば、「この時期のオリエント急行がこんな満員でにぎわうなんて珍しい」みたいなことを誰かが言っていたのを思い出します。
偶然ではなかった。
ただ、大雪という自然災害による偶然があったことで、外部犯による犯行だと思わせにくくなったことは、犯人たちにとっては誤算というか大きな痛手でした。

面白かったです。
カタカナの登場人物がたくさん出てきて、最初は誰が誰だかわかりにくくて読みにくかったですが、だいたい名前を覚えてきたころ一気に読みやすくなった印象です。
カバーを開いたところに登場人物の名前と職業が書いてあって助かりました。
主人公ポアロ、鉄道会社重役ブーク、医者コンスタンティンをほんのちょっとだけ疑ってしまったのは内緒です。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。