作者の思い通りに誘導されたなという印象です。
見崎鳴は死神のような存在の幽霊で、主人公は見えない物が見えているのだと思っていました。
もしかしたら主人公は死んでいるんではないかとさえ考えました。
これらは全て上巻の終盤で明らかになりましたが、違ってましたね。
やられたなーという思いです。
そしてその後も、見崎鳴は本当の本当はどういう人物なんだろうかと謎を残しながら物語が進んでいったので、最後の最後まで「裏切らないでくれよー」という思いでハラハラ。
下巻に入り、物語が進むにつれ、『死者は誰?』という、ミステリー小説の『犯人は誰だ』的な面白さも加わり、いったい誰なんだろうかといつものように予想を楽しみましたが見事に大ハズレ。
望月を大本命として、赤沢や勅使河原も少し疑ったりして。
九官鳥のセリフや、お父さんやおじいさんや見崎鳴のセリフなど、なんか変だなと思うところはあったので、もっとここを深く考えれば良かったんだなあと。
特に、お父さんの「一年半ぶりの夜見山はどうだ」という発言はおかしかったですよね。
先ほど以上に、やられたなーという思いです。
このAnother全般を通して思う事は、前回読んだ『屍人荘の殺人』と同じく、この作り込まれた『設定』だけですでに面白さがある程度確定してるなあということ。
『学校の七不思議的』な小さなホラーから始まり、『呪い』そして『現象』と大きなホラー要素に、犯人や真相を解き明かすというミステリー要素が上手く嚙みあってるなと感じます。
ただこれ、ハッピーエンドなんでしょうか。
この年に限っては『死者』がいなくなったことでこれ以上の死人は出ないでしょうが、また来年以降『ある年』になる可能性は消えてないわけですよね。
見崎鳴がこの学校にとどまり、毎年『死者』を判別する役割を担えば解決だなとも思いましたがどうでしょう。
できればもっともっと根本的な解決、『ある年』にならないようにできないものか。
この学校を廃校にすればもしかしてあっさりと解決になるのかな。
最後のまとめになりますが、色々な伏線を綺麗に回収してる印象があり、なるほどな!と納得しながらスッキリと読むことができました。
藤岡美咲さんがいとこではなく実の双子だったこと、そしてそれによるいくつかの謎な発言の意味の回収がとても良いなと思います。
面白かったです。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。