終わり方がスッキリしない。
多分それは美冬の正体は誰なのかと、きっと最後は暴かれると思っていたから。
暴かれないにしても、きっと最後は美冬が裁かれると思っていたから。
これじゃ、美冬の一人勝ちじゃないか。
幻夜の一章から話をすると、正直言って序盤は少しダレました。
白夜行に比べてですが、ちょっと状況説明が多すぎると言いますか。
面白くなってきたのは、美冬と雅也が本格的に絡み始めてから。
白夜行では亮次と雪穂の直接的なやりとりは一切描写されませんでしたが、この幻夜では美冬と雅也のやりとりがメインとして描かれています。
白夜行を先に読んだ私としては、亮次と雪穂はこういう感じでやりとりしてたのかなあと想像が膨らんで面白かったです。
内容については、この女も悪女だなと思いつつ、結局この人は雪穂なのかどうなのかと、最後はそればかり気にしてました。
どう思いますか?
私は雪穂だと思った方が面白いと感じたので雪穂であってほしいと思いました。
しかし、白夜行での雪穂はあくまでも亮次を実行犯にしてばかりで自分では手を下さなかったですよね。
この幻夜では、女自身が実行犯として手を下してる場面があります。
買われた女として、ホテルで工場勤めの男の手を刺した場面とか。
そもそも本物の美冬はどうしたのか。
逆に、白夜行で雪穂が言ったセリフと似てるセリフを美冬が言ってたり、「これは雪穂だろ」と思わせる場面も多々ありました。
結局のところ、この幻夜はストーリーの面白さもさることながら、美冬は果たして雪穂なのかどうなのか。
これが一番の肝な作品なのだと思いました。
少なくとも私は、気づいた時点からあんな事やこんな事も雪穂が言ったり&しているものだと思って読んでいました。
白夜行時代の雪穂の歴史も含めて美冬を見ていたので思い入れもありました。
読みやすさという点においては、白夜行と同じく「~だった」「~た」の使い方が印象的で、それによって短文になり読みやすかったです。
この作品を読む場合は、ぜひ白夜行から読むことをオススメしたいですね。
面白かった!
東野圭吾作品の他のも読んでみたくなりました。