(途中『そして誰もいなくなった』のネタばれも含んでいます)
最近、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』を読んだばかりだったので、それとの共通点や違う点を感じつつ最後まで楽しむことができました。
少し読み進めていくと本土パートが始まり、ここがまず『そして誰もいなくなった』と違う点で、ここからどう広がっていくんだろうとワクワクがスタート。
そして『オリエント急行の殺人』の時のようにひねくれた読み方をしてしまい、これだけ本土パートにも力を入れてるということは、犯人は本土側の人間なのではないかと疑いはじめてしまいました。
ですが、「こいつだ!」という確証が持てず、さらに読み進めていくうちになんとなく
「アガサが犯人なんじゃね?序盤から数回『そして誰もいなくなった』の話が出てきてるし、だから作者のアガサの名を名乗ってるやつが犯人だべ」
と、超短絡思考で怪しみ始め、ですがすぐに
「そんなんで犯人にするわけないか、簡単すぎるもんな」
と、またしても超短絡思考で推理を却下。
途中から、「亡くなったはずの青司が実は生きていて犯人なのでは?」と容疑者がさらに1人増えたことで完全に私の推理はストップし、ただただ楽しくページをめくるだけに。
何ページか読んだら休憩。を何度も繰り返して読み進めていきました。
休憩をするたびに目に入るは、「たった一行が世界を変える」「ミステリ史上に残る大トリック」という表紙下の帯に書いてある文字。
「どういうことなんだよ・・・この何もないような島でなにかトリック使ってやれることあるんかい」と思い、
あるとしたら、「『そして誰もいなくなった』のように死んだと思った人が実は生きていたパターンくらいじゃないのか、だとしたらやっぱりアガサ生きてるんか!」と更に脳内迷走状態へ。
まあ、さすがにそれはないかとすぐ我に返りましたが、犯人が誰なのかは最後の最後までわかりませんでした。
最後、島でエラリイとヴァンだけ生き残っている状態の後、なにやら館が火で燃えたような描写があり、なにがどうなったのかハッキリしないまま舞台は本土へ。
目で本土での話を追いながらも、「おい!2人のどっちかが犯人なんだろ?どっちなんだ????」と脳内では島の事で頭が占拠状態。
そんな混乱状態の中、あの一言。あのたった一行ですよ。
「ヴァン・ダインです」
「・・・・・・へ?、守須のニックネームはヴァンだと?・・・ヴァンってどこかで聞いた名前だなあ・・・・・・え!!!!!!?」
「『たった一行で世界が変わる』の一行ってこれか?わざわざページをめくらせた後にこの一行だけ贅沢に使ってるし、これだよな?」
あの一行が目に入ってすぐにピンときたわけではなく、ここまで考えてようやくパニック状態だった脳がスッキリと晴れました。
記事の最初の方にも書きましたが、本土の人間なんじゃないかとわりかし序盤の方で少しだけ疑いましたが、その時は島に行った人間とは違う人間が犯人なんじゃないかと漠然と思いました。
それだとなんか犯人側がやりたい放題な気がしてつまらないなと思ったので、まさかそうはなるまいと思っていましたが、まさか島に行った人間の内の一人が本土にも登場してたとは。
確かに世界が変わりました。
これ、犯人のヴァンは結構忙しかったんじゃ。
面白かったです。
この綾辻さんの館シリーズは他にもたくさん出てるみたいなので、全て読んでいきたいと思っています。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。