奇をてらわず、普通に思うまま生きてきたはずの主人公・古倉恵子。
そんな彼女が他人や社会からまるで異物のように思われ、普通になってほしいと願われる姿に、もどかしさを感じました。
普通って何なんだろうと考えさせられる作品です。
私は、普通とは大多数って意味だと感じました。
家族や友人が彼女に対して普通になってほしいと願うのは、「大多数の中に入ればきっと人生もっと楽に生きられるよ」という優しい想いから来てるものだと思います。
一方、冷静な第三者目線で見れば、「もっと普通にならず、とがってガンガン個性を出していけばいいのに」と思う人間もいることでしょう。
私は読書中、この2つの間で揺れ続けたので、とてももどかしかったです。
古倉恵子がコンビニでアルバイトを始めたのは、彼女が大学1年の頃。
文中では始めたきっかけとして、アルバイトに興味があったからという1つの理由が書かれていますが、心の奥底ではそれとは別の、無意識に思うところがあったのではと思います。
ゴーストタウンのような真っ白いビルが立ち並び、画用紙で作った模型のような偽物じみた光景の一角に、透明の四角い水槽のような作りかけのコンビニを見た彼女。
きっと、ビルが大多数のいわゆる普通に見えたのだと思います。
そんな中、普通にならねばと教育・洗脳・影響をうけた彼女は、これからオープンする小さなコンビニに一筋の光を見たのでは。
いきなりビルサイズの普通は無理だけど、コンビニサイズの普通なら私でもいけるかもしれない、と。
しかも新規オープン、途中から入っていくよりも、他人と全く同じ1からのスタートという点も気に入ったんではないかと推測します。
その後の彼女は、コンビニを通じてコンビニの中のルールを学び、その中で普通として生きてくわけですが、18年間も接客業を継続できたのは素直に凄いなと感じました。
私は絶対に接客業は嫌ですし無理だと思っているので。
しかも18年も同じところで。
一言でまとめていいものなのか分かりませんが、古倉恵子は天職を見つけたんだと思います。
これを、いい歳してバイトだとか、コンビニの仕事なんてとか、色々と普通の人がイチャモン的な事を文中でも言っていますが、本人がそれでいいならいいじゃないですか。
法律を犯したり、他人を傷つけるような事はしない程度の、他人が考える普通さがあれば、それでいいんではないかと思います。
結論としては、私も天職を見つけたい。汗
最後まで読んで頂いてありがとうございました。