最後の最後、そのあとどうなったんでしょうね。
保はなんて声かけたんだろう。
新城喬子は素直に従ったのか、それとも抵抗したのか。
物語が進むにつれ、あまりにも色々な闇を抱えてる事が明らかになった新城喬子。
イタリアンレストランに堂々と現れた時、「あ、本当に実在したんだ」とすら思いました。
最初は、親戚である和也のただの婚約者だったのに。
想像が膨らむ物語の終わり方をしたので、正直ちょっとスッキリはしません。
そもそもこの物語じたい、ずっとモヤモヤしてる中で内なる闘志を秘めて進行していったような印象を受けました。
丁寧に、かつジワジワと静かなる盛り上がりを見せていったように思います。
とはいえ、時にはアツく印象的な描写があり、普段とのコントラストがよりその描写を映えさせていたように感じます。
カード借金のこわさ、破産のすすめ、女の妬み、生まれ変わりたいという思い、親でさえも死んでいてほしいという切実な願い、など。
新城喬子が残した物の中で、個人的に一番気になっていたのは球場内に建ったモデルハウスの写真でした。
これはどういう意味があるんだろう、どういうヒントになるんだろうとずっと考えていました。
事実を知り、泣けました。
彼女もごくごく普通の夢を持っていたんですね。
普通ではあり得ないようなことをやり、「孤独だったからこそ、一人きりだったからこそ、他人の身分を乗っ取って成り代わるというようなことをやってのけられたのではないか」と思われた彼女も、別になんてことはない普通の人です。
ただ、追い詰められすぎた。
そして、追い詰められすぎたまま突き進んで辿り着いた次の狙いは、木村こずえ。
本間が新城喬子の次の狙いに気づいた時、私は今作で一番ゾワっとして恐ろしくなりました。
「まだやるのか!!!」と。
てっきり彼女はずっと逃亡するのか、それとも誰かに殺されているのか、どちらかだと思い込んでいました。
こうやって振り返ってみると、「こういう展開になるのかな?」と思った矢先に物語が斜め上の進行をしていったような印象です。
子供の智からヒントを得た場面ではホッコリしました。
犬のボケちゃんが殺された場面では、怒りと悲しみが両方やってきました。
「蛇が何度も何度も脱皮をするのは、いつか足が生えてくるのを信じているから」という文を読んだ時は、誰かに言いたくてたまらなくなりました。
面白かったです!
最後まで読んで頂いてありがとうございました。